【行道】(ぎようどう)

伎楽は行道に始まり行道で終わる仮面劇であ る。今回は伎楽の登場人物が列をなし、各々特 徴的な所作を演じながら行道を行う。
 先頭は治道である。これは道案内、露払いの 役である。
次に庇持ち、楽隊(笛、腰鼓、銅拍 子、鉦盤)が続く。
その後叫師子から始まり、酔 胡王とその従者までが続く。
舞台では治道が獅 子を呼ぶ。
獅子児は必死に獅子を舞台に引っ張 り上げようとするが、獅子は舞台に上がろうと せず、しかたなく治道は呉公の登場を促す。呉 公は舞台で笛を吹き、次いで上る迦楼羅は土中 の毒虫を食べる振りをする。
次が呉女と呉女従 の登場である。呉女に恋慕する崑崙も舞台へ、 かってはかなり卑猥な所作をしたとある。
しか し崑崙の恋故の悪戯も、金剛と力士によっ て砕かれ、追い払われてしまう。
ついで婆羅門 が現れ襁褓を洗う振りをする。続いて太孤父は 太孤児に付き添われて登場、敬虔な信者の様子 と親孝行の姿を表現している。
次が酔胡王とそ の従者達である。彼らは舞台の上で宴会を始め、 酔っぱらっては歌い踊る。宴もたけなわになっ た頃、酔胡従の一人が獅子を蹴って起こしてし まい、目を覚ました獅子は暴れ回る。
獅子児の 手に負えず、呉公も上がって止めるが、呉公の 威光を持ってしても一向におさまりそうにない。
まさに獅子奮迅である。そこで呉公は懐から出 した幡(宗教的権威の象徴)を獅子につけるが まだ治まらず、百花の王である牡丹によって、 獅子はようやくおとなしくなり、行道は幕を閉 じる