
ギメ博物館 パンテオンでのワークショップの模様
2011年9月12日 天理大学雅楽部の22回海外演奏会にて、フランス パリにあるギメ博物館におけるワークショップをおこなった。
ギメ美術館は、リヨン出身の実業家エミール・ギメ(1836‐1918)の古代エジプト、ギリシャ、ローマ、そしてアジア諸国に関する宗教博物館を創るという構想によってできた。
実際に世界を巡ったギメは、各地で収集した重要なコレクションを当初リヨンで展示したが、パリに建造させた博物館に移管、1889 年博物館として開館したのである。
1927 年、ギメ博物館はフランス博物館総局の指揮下に入り、ポール・ペリオやエドワール・シャヴァンヌといった中央アジアや中国に派遣された遠征隊が請来し貴重な収集品を受け入れるなど、特にアジアの優れた美術品の収蔵し、近年の大改修による展示場の充実によりアジア美術に関する世界有数の博物館の一つとなった。
本来、美術館に付設されているホールでの公演が計画されたが、日程が空かず、パンテオンと名付けられた一室にて披露することになった。30 席限定のワークショップとなり、実際には、立ち見を入れて40 人程の参加者の前で演じた。
管絃、謡物、舞楽を先に短いバージョンで演じ、最後に伎楽、迦楼羅を演じ、伎楽がどのように復興したかを話し、面や装束、演奏形態について説明した。その後、参加者の質疑応答の時間を設けた。狭い空間で、メンバーを通常より減らしての演奏でも、直接の音はやはり迫力があり、その意味であまり経験することのない、ワークショップの名に相応しいものとなった。
ミスの少ない今回の公演の中で、唯一、太平楽の曲の途中で篳篥が止まりそうになったのは、旅の疲れがあるとは言え、惜しいことであった。
博物館の厚意により、伎楽面が展示されている館内を見学させて頂き、大仏開眼法要の折に使用されたと伝えられている迦楼羅を初め、5つの伎楽面を間近で対面することができた。
